秋季雅楽演奏会
J.M.ルクレール/ソナタ集
平安朝雅楽
I.H.ロッテンブルグのトラヴェルソ
after Johannes Hyacinthus Rottenburgh (1672-1765, Brussels)
by Alain Weemaels, Grenadilla, A=415Hz
G.A.ロッテンブルグのトラヴェルソ
after Godfridus Adrianus Rottenburgh (1703-1768, Brussels)
by Alain Weemaels, European boxwood, A=415Hz
ヴィンテージ・フルート
楽器店のみならず、最近はネットオークションでもオールド(ヴィンテージ)ものをよく見かけるようになりました。個人間での売買も盛んになっているようです。 ただ新品の楽器と違い、購入に当たっては注意が必要なのは言うまでもありません。やはり試奏してから買うというのが基本だと思います。(楽器店の場合は中古でもある程度の保証はしてくれると思いますが、オークションの場合はそのあたりのリスクを考慮に入れなければならないでしょう。 但し、オークションでも試奏させてもらえる場合があるようですので、リスク&リターンで判断すればよいと思います。)私自身、楽器店でオールド、ヴィンテージの中古品を試奏したことが何度もありますが、名器と呼ばれている楽器で百万円以上もするようなものでも、なかにはキーがまともに動かないといった重症のものがありました。私の場合は、前オーナーの使用感を払拭すると言う意味でも購入後、腕の良いリペアマンに依頼してオーバーホールすることにしていますので、判断基準としてはあくまで修復後に完全な状態に持っていける見込みがあるかどうかということになります。
ポイントとしては、
①変色
銀の楽器であれば磨きを入れると、母材の輝きを取り戻し、ピカピカになりますので全く気にする必要はないでしょう。
②傷、へこみ
スクラッチ(浅い引っかき傷)はほとんど磨きで取れますし、へこみもよっぽどひどくない限り修正可能で す。ただし大きな傷、へこみの場合はその他の部分へひずみの影響が出ている場合があるので注意が必要です。
③腐食
母材が銀の場合は深部まで腐食してしまうことはなく、表面の変色を磨いて取ればよいのですが、たとえば洋銀に銀メッキなどの場合にはメッキのピンホールや傷が原因で、内部が腐食している場合があります。そういった場合は母材を研磨し、再メッキが必要となりますので少々面倒です。 放っておくとメッキがバラバラ剥れだします。
④メカニズムの不具合
キーのガタは修正可能です。但し明らかに動きが悪いものは避けた方が無難です。 一時的には直っても使用しているうちに再発を繰り返すことが少なくありません。
⑤はんだ付け(ろう付け)
はんだ付けは経年変化の大きい部分で、さすがに百年を経たような楽器では相当傷んでいる可能性 があります。再度、付け直しということは可能ですが当然大きな熱履歴を与えることになるので母材の物性(硬度)が変わり、音色が変わってしまうことも考えられます。以上のようなところに注意が必要と考えますが、大抵の場合、楽器を見れば前オーナーがどれだけの愛情を持ってその楽器に接していたかが良くわかります。大切に扱われてきたものはやっぱりいい顔をしています。何十年も前の楽器でも、きちんとオーバーホールすれば新品と見間違えるほどの状態になると言っても過言ではありません。
バーカートのピッコロ
Burkert & Phelan Piccolo #54XX (ca. 2001, Boston)
もともとバーカートのハンドメイドピッコロは80万円位したものですが、数年前に廉価版モデルとして発売されたもので、40万円台で購入しました。 廉価版といっても従来のハンドメイドと比べて、音、作りとも遜色なく、非常にコストパフォーマンスの高い楽器だと思います。
(ハンドメイドはリリアン・バーカート自らマウスピースの削りをやっていますが、こちらはおそらく他の職人さんが削っているのではないかと思われます。)