秋季雅楽演奏会

イメージ 1
先日、宮内庁楽部の秋季雅楽演奏会に行ってきました。
13:30開場ということだったので1時間前の12:30に現地に着くようにしたのですが、すでに50人ほどが並んでました。1時間並んで待った後、入場券と身分証の照合と手荷物検査を受け、いざ会場へ。
 
イメージ 2
(演奏中は撮影禁止なので、開演前の写真でご容赦を)
 
会場に入ると迷わず2階席へ。
正面、側面とも2階の最前列がベストです。ただし柱の陰にならないように注意。2列目以降だとよく見えないです。写真を見て頂くと、1階の舞台の周りは白洲になっていてここにも椅子が敷き詰められていますが、舞台を見上げる位置で舞人がよく見えません。1階ならば左右の一段高い位置の最前列がいいでしょう。
 
この日は早めに並んだおかげで2階正面左寄りの最前列に座ることができました。
ここから開演の14:30までさらに1時間待ち。
 
さて当日のプログラムは、
前半の部(管弦) 「平調音取」(ひょうじょうのねとり)
          催馬楽「更衣」(さいばら ころもがえ)
         「皇じょう急」(おうじょうのきゅう) ※「じょう」は「鹿」の下に「章」
          「王昭君」(おうしょうくん)
後半の部(舞楽) 「賀殿」(かてん)
          「登殿楽」(とうてんらく)
 
どれもおなじみの曲で、自分も龍笛でさらったことのあるものでしたが、やっぱりここは最高峰の演奏。
雅楽は本当に美しいと改めて思いました。 日本人の心の琴線に触れる音楽です。

J.M.ルクレール/ソナタ集

イメージ 1
私のお気に入りのCDです。
ルクレールの音楽ってアクがなく、純粋で、心が癒されます。もともと楽譜にはヴァイオリンでもフルートでもOKと書かれており、ともに多くのレコーディングがありますが、クイケンのトラベルソ(G.A.Rottenburgh)の透き通るような音が大変美しく、曲にマッチしています。

平安朝雅楽

イメージ 1
源博雅龍笛 ~蘇る最古の笛譜~ (フォンテック)
平安楽舎を主宰されている長谷川景光氏のCDです。
雅楽は時代とともに大きく変化しており、それをさかのぼって出来るだけオリジナルに近い形で再現しようというのが長谷川氏の試みです。詳しい内容はサーチエンジンで検索していただくと氏のホームページで公開されています。
平安、鎌倉、室町、江戸、近代と時代によって雅楽の譜面は同じ曲でも大きく変化しているようです。(要するに記譜されている音がどんどん増えている。) このCDでは長谷川氏は平安時代に使用されていた譜面として「新撰楽譜」を用いて、龍笛のソロまたは笙とのデュエットで演奏しています。
非常にシンプルな譜面のためゆっくりと押しながら音を出していき、ロングトーンからゆっくりと引いていくといった奏法で、非常に幽玄で美しい世界が繰り広げられています。今の雅楽で用いられるような、アテ(息を強く吹き込むスポルツァンド奏法)やアテ切り(奇数拍で切るアウフタクトのようなリズム)は用いていません。よって拍は強調されず、ひたすら静かに流れていきます。笛の奏法としてこのような吹き方は相当鍛錬されていないとできませんし、氏の龍笛の音そのものも非常に美しく、思わず時間を忘れて聴き惚れてしまいます。有名な「青海波」などはまるでヨーロッパの教会音楽のように響いています。(氏は上記「新撰楽譜」から小曲を抜粋して校訂した「新撰楽譜横笛小曲集」を出版されており、実は私も購入して同じように吹いてみましたが、結構しんどいです。)
長谷川氏のような試みは雅楽を学んでいる方々からは、賛否両論でしょうね。何といっても千年以上前から口伝で続いている音楽ですから全く変わっていないとは誰も言えないでしょうし、「新撰楽譜」に書かれている音が当時そのまま演奏されていたのか、それともメロディの大枠だけが書かれており別の装飾法があったのかもわからないでしょう。
ただ音楽の美しさと演奏の素晴らしさにおいて、私は絶賛いたします。

I.H.ロッテンブルグのトラヴェルソ

Flauto traverso
after Johannes Hyacinthus Rottenburgh (1672-1765, Brussels)
by Alain Weemaels, Grenadilla, A=415Hz
 
イメージ 1
 
 
もうひとつのロッテンブルグですが、こちらは父親の方のJohannes Hyacinthus Rottenburgh (Brussels, 1672-1765)のレプリカで、同じくブリュッセル在住の製作家Alain Weemaels氏の手によるもの。
この楽器は典型的なバロック期のトラヴェルソで、息子(Godfridus Adrianus Rottenburgh, 1703-1768)の楽器の女性的な柔らかい響きに対し、力強く、芯のある男性的な響きがします。 Weemaels氏曰く、「大きなコンサートホールでもオーケストラでも使える」ということですが、確かによく通る音で独奏に向いている楽器だと思います。
ちなみに、形状を見て頂くとヘッドジョイントが随分長いのがおわかりになると思いますが、これはバロック初期の3分割フルートの名残であるといわれています。(他に同時代のドイツの製作家アイヘントップフの楽器もちょうど同じ位のバランスです。)
Weemaels氏のこのモデルは、バルトルド・クイケンがバッハのフルートソナタ全集、ヘンデルソナタ集、テレマンのパリ四重奏曲全集などのレコーディングに使用しているほか、ヨーロッパの多くの演奏家がフランス・バロック、ドイツ・バロックを問わずレコーディングで使用しているもので、この時代の音楽についてオールマイティーな楽器と言えるでしょう。

G.A.ロッテンブルグのトラヴェルソ

Flauto traverso
after Godfridus Adrianus Rottenburgh (1703-1768, Brussels)
by Alain Weemaels, European boxwood, A=415Hz
 
イメージ 1

ベルギー、ブリュッセル在住のAlain Weemaels氏による18世紀の名工G.A.ロッテンブルグ(1703-1768)のレプリカです。 コピー元であるオリジナルはバルトルド・クイケン氏所有の物で、1745年頃ブリュッセルで製作されたものと言われてきましたが、どうも最近の情報では更にずっとあと(少なくとも1760年以降)のものらしいです。ということは時代的に言うと正確にはバロックよりも少しあとのロココあるいはクラシックのものになりますね。
このモデルのオリジナルは数あるトラヴェルソの中でも最も有名で、多くの製作家がそのレプリカを作っているものです。特徴としてヘッドジョントのコルク位置を微調整するためのスクリューとフットジョイントの長さを変えるためのフットレジスターを備えています。というのはオリジナルにはピッチを変えるための左手管が七本付属しており、それらを取り換えたときのバランス調整が必要となるためです。(私のはA415のみですが別注で作ってもらえます。)
イントネーションは良好、柘植らしい大変温かみのある音色で、低音域はソフトです。また高音域が軽く鳴らしやすいのも特徴です。 これ一本でバロック~初期古典のどんな曲でもいけます。
Weemaels氏のフルートはこのモデルをはじめ、ヨーロッパの名手が数多く使用しているだけあって、完成度は非常に高いです。

ヴィンテージ・フルート

楽器店のみならず、最近はネットオークションでもオールド(ヴィンテージ)ものをよく見かけるようになりました。個人間での売買も盛んになっているようです。 ただ新品の楽器と違い、購入に当たっては注意が必要なのは言うまでもありません。やはり試奏してから買うというのが基本だと思います。(楽器店の場合は中古でもある程度の保証はしてくれると思いますが、オークションの場合はそのあたりのリスクを考慮に入れなければならないでしょう。 但し、オークションでも試奏させてもらえる場合があるようですので、リスク&リターンで判断すればよいと思います。)私自身、楽器店でオールド、ヴィンテージの中古品を試奏したことが何度もありますが、名器と呼ばれている楽器で百万円以上もするようなものでも、なかにはキーがまともに動かないといった重症のものがありました。私の場合は、前オーナーの使用感を払拭すると言う意味でも購入後、腕の良いリペアマンに依頼してオーバーホールすることにしていますので、判断基準としてはあくまで修復後に完全な状態に持っていける見込みがあるかどうかということになります。

ポイントとしては、

①変色
銀の楽器であれば磨きを入れると、母材の輝きを取り戻し、ピカピカになりますので全く気にする必要はないでしょう。

②傷、へこみ
クラッチ(浅い引っかき傷)はほとんど磨きで取れますし、へこみもよっぽどひどくない限り修正可能で   す。ただし大きな傷、へこみの場合はその他の部分へひずみの影響が出ている場合があるので注意が必要です。

③腐食
母材が銀の場合は深部まで腐食してしまうことはなく、表面の変色を磨いて取ればよいのですが、たとえば洋銀に銀メッキなどの場合にはメッキのピンホールや傷が原因で、内部が腐食している場合があります。そういった場合は母材を研磨し、再メッキが必要となりますので少々面倒です。 放っておくとメッキがバラバラ剥れだします。

④メカニズムの不具合
キーのガタは修正可能です。但し明らかに動きが悪いものは避けた方が無難です。 一時的には直っても使用しているうちに再発を繰り返すことが少なくありません。

⑤はんだ付け(ろう付け)
はんだ付けは経年変化の大きい部分で、さすがに百年を経たような楽器では相当傷んでいる可能性   があります。再度、付け直しということは可能ですが当然大きな熱履歴を与えることになるので母材の物性(硬度)が変わり、音色が変わってしまうことも考えられます。以上のようなところに注意が必要と考えますが、大抵の場合、楽器を見れば前オーナーがどれだけの愛情を持ってその楽器に接していたかが良くわかります。大切に扱われてきたものはやっぱりいい顔をしています。何十年も前の楽器でも、きちんとオーバーホールすれば新品と見間違えるほどの状態になると言っても過言ではありません。

バーカートのピッコロ

 

Burkert & Phelan Piccolo #54XX (ca. 2001, Boston)

 
イメージ 1
 
 
非常に発音しやすく音程の良いピッコロで、オーケストラでの持ち替えが楽です。
もともとバーカートのハンドメイドピッコロは80万円位したものですが、数年前に廉価版モデルとして発売されたもので、40万円台で購入しました。 廉価版といっても従来のハンドメイドと比べて、音、作りとも遜色なく、非常にコストパフォーマンスの高い楽器だと思います。
(ハンドメイドはリリアン・バーカート自らマウスピースの削りをやっていますが、こちらはおそらく他の職人さんが削っているのではないかと思われます。)