八幡内匠の龍笛

八幡内匠 作  龍笛(本煤竹、桜樺巻)
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 京都八幡内匠の龍笛です。 龍笛平安時代から続く雅楽の笛で、龍の鳴く声がこんなであろうということからその名がつけられました。もっとも当時は一般的には横笛(おうてき)と呼ばれていたようです。このように千年以上まえから姿を変えていない笛なんて世界中探してもほかにはないでしょうね。
 他のフルート属の楽器に比べると、非常に倍音の多い、リーディな音がします。音域的にはピッコロとほぼ同じです。ただし最低音の2つはほとんど使いませんので実質Eが最低音です。和(ふくら)と呼ばれる1オクターブ目、責(せめ)と呼ばれる2オクターブ目が全音域となります。指穴が大きく、指の腹ではなく中ほどで押さえます。写真を見て頂ければわかるように歌口の穴はピッコロと違ってフルート並みに大きく、コントロールはずっと難しいです。でも思うように鳴ったときの気持ちよさは言葉に言い表せません。
 八幡さんの笛は音程が正確で、和から責までよく鳴り、非常に美しい音です。笛吹きの間では大変評価の高い笛です。私にとっても未だにこれを越えるものはありません。また加えて申し上げるなら楽器そのものの仕上げも大変美しく、工芸品としても第一級のものです。内面の鏡のような赤漆など本当に完璧な仕事をなさっています。